人生は一度きりだから
大抵しんどいと思う。
生きてるってハッピー!とか笑顔で言われたら卒倒しそうになる。
人生暇つぶしって少し思ってる。
好きな曲の最後にボーカルが「人生一度きり」と言う。そこでいつもよぎるのは、人身事故の表示の出た、電光掲示板。
実際に事故の様子を見たことはない。だけど、リアルに想像はできる。
フワン、と音を立てて去っていく電車に飛び込めばきっと楽になれる、さあ、と一歩足を踏み出して、そのまま帰れなくなってしまった、彼、彼女、あの人。
いつも、鉄道会社は謝る。車掌も謝る。
「みなさまにご迷惑をおかけして申し訳ありません…」
何度も何度も同じように謝る。
いつも思う。
なんで謝るんだろう。
謝らなくていいよ。
あなたは悪くない。
落ちてしまったその人も、悪くない。
誰も悪くない。
謝罪はなんとなく宙に浮いたまま、どこにも響かずに辺りをただ彷徨っている。
どんな人生を送ってきたのかな。疲れてしまったのかな。ほんの一瞬でも、楽しいと思うことはなかったのかな。
きっとあっただろう。そんなふうに願うことはただのエゴだ。わかっている。
いい人だと言ってほしいわけじゃない。
だけど思う。あなたを駅のホーム下へと追いやったのは、本当はわたしたちひとりひとりでできた社会なんだ、と。
誰かが悪いわけじゃなく、個人の集団でできた、この社会が、あなたの心と身体を蝕んでいたんだ。
謝らなくていいから、謝るよりも、考えなければ。
「どうしてあなたが、自分から終わりを迎えに行ってしまったのか。
わたしたちの何が、そうさせたのかを。」
もっと生きられたはずなのに、終わりを待たず、自分で決めてしまった最期。
その瞬間、何を想っていましたか?
これからは、わたしたちの知らない場所で、今度は自分で終わりを決めなくてもいいように…選ばなくてもいいように、ただそこに穏やかに、在ってほしい。
1秒先で何が起こるかなんて分からない。でも、この命を生き切ることができたなら、それでいい。それがいちばん。
そんなふうに思い願いながら、今日もわたしたちは、生きていく。
自分らしく生きるなんて、正しい生き方なんて、分からないけど、それでも。
生きていたんだよね。
わたしも生きていくよ。