親愛なる誰かさんへ。

日常、雑念、世界。

風のように生きたい

思えば私は

たとえば宛名のない手紙を書くことが好きだはるか遠くにいる誰かに話しかけるように

たった一度きりの出会いを楽しむように

普通には出会えない誰かと一瞬だけ手を繋ぐ

そういう瞬間を愛している

 


生きることは旅をすること

果てしない海にぽつんと浮かんだ船を

1人で操縦するということ

雨の日も晴れの日もある

ときには嵐の日もあるが

旅を自分で終えることほど哀しいことはない

長い旅路の途中で出会うひとびと

多くの人とはすれ違うだけ

たとえ言葉を交わしたとしても

全く同じ道を往くことはない

それぞれに吹く風は違うから

ひとつとして同じ船はないから

あなたが明日に向かって漕ぐ船を

わたしはいつも見つめている

それは光だ

不確かな日々を照らすような

その存在は光だ

たとえ世界が終わっても

あなたが残した光は消えない

今ここで

遠くのあなたを感じるとき

生きていることの

その意味を越えた魂に

わたしは出会う

そんな気がしている